嘘カノでも幸せになれますか
通話の切れたスマホをじっと見ていると咲希が近寄ってきて、
「ね、今のって暖先輩でしょ? 何だって? っていうか、良く柚葉の番号知ってたね」
「あのね、借りたお金を入れた封筒に“今度お礼をしたいから”って手紙を書いて入れたの。そこに私の携帯番号も書いておいたんだよね」
「そうだったのね。奥手の柚葉にしては頑張ったじゃない。それにしても暖先輩が電話してくるなんて、意外だわ。で、暖先輩はなんて?」
「なにか付き合って欲しいから放課後に昇降口で待ってるって」
「きゃー、それってデートじゃないの、柚葉! 展開早っ!」
「ち、違うよ。そんなんじゃないって」