嘘カノでも幸せになれますか

私たちは電車に乗って数駅先の駅で降りる。

どこへ行くのか聞いてもダンは答えてくれなくて。

駅からはバスに乗り、目的地まで向かう。

電車に乗っている時も、バスに乗っている時も、ダンは私の手を離すことはなくて。

私が時々繋いでいる手にキュッと力を入れると、それよりも少し強い力でダンもギュッって握り返してくれる。

どうして私はこの手を離してしまったんだろう。

もう、絶対に離したくない。

今から行く場所に何があるのか、香梨奈さんの存在がダンにとって何なのか、全てを知ってもこの手を離したくない。
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