嘘カノでも幸せになれますか
私たちが降りたバス停の目の前には大きな病院が建っていた。
「ここだよ。ここに香梨奈がいるんだ」
「えっ? 結城総合病院・・・。入院しているの?」
「ああ。ここに来ても会えるわけじゃないんだけどな」
「ダン? 香梨奈さんって」
「俺の妹だよ。まだ小学生なんだ」
「・・・えっと、そうだったの。ごめん、知らなかった」
「別に言ったことないしな。他のヤツも誰も知らないと思う。香梨奈は病院の小児病棟にあるクリーンルームに入院してて、滅多に会うことができないんだ」
「そうなんだ。重い病気なの?」
「いや、本人は元気らしいんだけどな。血液の病気だからなかなか退院できなくて。会える時には連絡来るんだけど、あまり会えてないんだよな」