嘘カノでも幸せになれますか
夏休み前、7月に入ると私はピアノ練習に時間を使い、ダンはライブに向けたバンドの練習があるから、お付き合いが始まってもダンと二人でお出かけできていなくて。
毎日学校までの登下校の時と、時々お昼を一緒に食べる時しかダンに会えないのが淋しいの。
でも、夏休み初日にダンと夢の国へ行く約束をしたから、今は淋しくても頑張れる。
そんな時、とても嬉しいお知らせをダンが教えてくれた。
「香梨奈がさ、明日退院できることになったんだよ。しばらくは家で静養だって。香梨奈が戻ってきたらユズさ、俺の家に遊びに来いよ」
「えーーっ! 香梨奈ちゃん退院できるの、良かったね。本当に良かった。ダン、おめでとう」
「いや、俺がめでたいわけじゃない。でも、そう言ってくれてありがとう」
「ダンのお宅にお邪魔してもいいの? 香梨奈ちゃんとお話ししたいし、一緒に遊びたい。ね、いつお邪魔していいの?」
「明日は退院初日できっと疲れるだろうから、明後日にするか? 明後日はピアノ教室?」
「ううん、何もないよ。ダンのバンドは?」
「バンドはさ、スタジオ代がバカにならないからそんなに頻繁には練習してないんだよな。今週は練習ないんだ」
「じゃさ、香梨奈ちゃんの体調次第だけど明日お邪魔してもいい?」
「そうしよう。香梨奈の話し相手になってやって。アイツ、小学生の癖に恋バナとか好きだからさ。俺じゃ話し相手になんねぇの」
「うん、たくさんお話しするね。会えるの楽しみだな」