嘘カノでも幸せになれますか
ダンは家が近いって言ってるのに、私の手を握る。
「えっと、ダン。手は、繋がなくても・・・おうち近いんでしょ?」
「なんで? 近いとダメなの?」
「ダメじゃないけど。お父さんとかお母さんに見られるの恥ずかしくない?」
「恥ずかしくない。だってユズじゃん。俺の彼女だろ。なんで恥ずかしいんだよ」
「そうなんだ。私は少し恥ずかしいな。だからダン、今だけ離してもらっても、いいかな」
「えー、やだよ。だめ、離さない」
「もぅ」
ダンは私の手を決して離そうとしなかった。
それが何故なのか分からないけど、ダンには何か不安なことがあるんじゃないかなって思えてしまって。
かたくなに離さない手を無理に解くことはできなかった。