嘘カノでも幸せになれますか

「お兄ちゃんがね、駅でとても可愛い子に会ったって言ってて、香梨奈に絶対に会わせてやるから楽しみにしてろって言ってたの。そしたらユズさんが本当に可愛かったから、お兄ちゃんが言ってた駅の人なんだろうなって思ったの」


顔も熱いけど、なんだか変な汗が出てくる。


「かっ、香梨奈ちゃん。私そのこと初めて聞いたよ。ダンは私のこと可愛いだなんて言ってくれたことないし。ハズカシイ」

「ユズさんはお兄ちゃんのどこが好きなの?」

香梨奈ちゃんがグイグイ攻めてくるから、年上の私が慌ててしまう。

「えっと、ダンの好きなところ。ん―――とね、私の苦手なことを一緒に克服しようと努力してくれるところとか、失敗した卵焼きを美味しいって言ってくれるところとか、とてもやきもち妬きなところとか、すごくストレートに好きって伝えてくれるところ、かな」

「ええーっ、お兄ちゃんってもしかしてツンデレだったの? 俺ってかっこいいだろって感じで一見近寄りがたいよね。香梨奈からしたら笑っちゃうけどね」

「うーん、あまりデレられたことはないかな。もう少しデレてくれてもいいんだけどね。私がしっかりしていないから、デレてくれないんだと思うの」

「お兄ちゃんはあれでも相当ユズさんにデレてると思うよ。だってさ、香梨奈に彼女のことを話すなんて初めてだもん。お兄ちゃんね、ユズさんのこと大好きだと思うよ」

香梨奈ちゃんにそんなことを言われて、凄く照れた。
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