嘘カノでも幸せになれますか
さっき香梨奈ちゃんにした内緒話は声も小さかったし、きっとダンには聞こえていないだろうって思ったんだよね。
ダンに聞かれていたら恥ずかしいもん。
三人でそんなやり取りをしていたところにダンのお母さんがケーキとジュースを持ってきてくれた。
「あら、三人で楽しそうにしているわね。柚葉さん、どうもありがとう。香梨奈の笑い声なんて久しぶりに聞いたわ」
そんな風に嬉しそうに言って、部屋を出て行った。
私たちは三人でケーキを食べながら、ダンのツンデレエピソードを笑いながら話した。
香梨奈ちゃんは食が細いようで、ケーキを三分の一食べてフォークを置いたから、やっぱり退院したばかりだし調子がいいって言ってもまだ体は辛いのかもしれない。
「ダン、私そろそろ帰ろうかな。香梨奈ちゃんもたくさんお話ししたから疲れたでしょ。少し休んでね」
「香梨奈ね、ユズさんと恋バナできて嬉しい。また遊びに来てくれる? 香梨奈、待ってるね」
「うん、いつでも遊びに来るからね。香梨奈ちゃんが元気になったらどこかへ遊びに行こうね」
「わ、嬉しい。ユズさんと二人で遊びに行きたい」
「だからー、香梨奈もユズも! 俺も仲間に入れろよな」
拗ねるダンが可愛くて、私と香梨奈ちゃんは涙を流して笑った。