嘘カノでも幸せになれますか
第22話 スキが溢れる

いよいよ明日から夏休み。

今日は午前中で学校が終わったから、ダンとの待ち合わせの時間まで教室で咲希とおしゃべり中。


初めてダンのお家にお邪魔した日の帰り、私たちは初めてキスをした。

私の気のせいかもしれないけど、その日からダンはどこでもお構いなしに私にくっついてきて、クールなキャラのダンがこんなに変わるなんて、私だけじゃなくて咲希や一輝先輩もびっくりしている。


「中学の頃の暖先輩は本当にクールで近寄りがたい雰囲気だったんだよ。それがさ、どうして柚葉と付き合い出した途端にデレになっちゃったんだろう。イメージ崩壊だよ」

咲希が遠慮なくそんなことを言う。

「そうなんだよね。ダンが変わったのは私も感じてるの。懐いてくるっていうのかな、そんな感じ」

「柚葉、あなたたち何かあったでしょう? キャーッ! 聞きたくないけど言ってごらん」

咲希はやっぱり鋭いな。

何かあったって。もちろんキスのことだよね。

「咲希、あのね。この前ね、ダンと・・・」

「暖先輩と?」

「あのね。きっ、キスしちゃったのぉ」

「いやーーーっ! もしかして柚葉のファーストキス?」

「んー、それは違うけど」

そう、私は幼いころにたっくんとチュウをしたことがある。

キスじゃなくてチュウ。

それは鮮明に覚えていて。

絶対にダンには言えないけど。
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