嘘カノでも幸せになれますか
私は咄嗟にダンの元へ駆けて行き、ダンの洋服の裾を掴んでダンの動きを止める。
「ダン、あのね。その・・・キスは明日ね」
私はつま先立ちしてダンの耳元で小さな声でそう囁いた。
「はっ?! ユズ! 俺、マジで我慢してんのに。もうユズのせいだからな」
ダンは私の頭を両手で挟み、親指で私の前髪をサッと払うと私のおでこにキスをした。
「今日はこれで我慢してやる。明日は覚悟しとけよ」
そう言うと今度こそ駅への道を戻って行った。
ダンが見えなくなってから家に入り、さっきキスされたおでこに掛かっている前髪を触る。
「ダン・・・」
ドキドキしていた。
今、別れたばかりなのにもう会いたいって思っている。
重症だな、私。
いつの間にこんなにダンのこと好きになったんだろう。
明日はとびっきりの夢の国デートしようね、ダン。