嘘カノでも幸せになれますか
ダンの家はとても静かで、もうお昼になるというのに門の街灯がうっすらとつきっぱなしになっていた。
私はためらいながらもインターホンを押すと、家の中から私の押したインターホンの音がかすかに聞こえてくる。
しばらく待っても誰も出てこない。
もう一度インターホンを押そうと指を伸ばした時に、後ろから誰かに声を掛けられた。
「今朝がた、宮野さんのお宅に救急車が来ていたから誰もいないんじゃないかな」
振り向くと道の反対側の家のおじさんがそう教えてくれた。
「えっ? 救急車ですか? 誰が・・・もしかして香梨奈ちゃん? それとも、ダン?」
「さぁ、誰が運ばれたかまでは知らないけどね。娘さんが退院して帰ってきてたから、もしかしたらその娘さんかねぇ」
そんな。香梨奈ちゃんなの?
もし香梨奈ちゃんだったら救急車の行く先は結城総合病院だよね。
私が行ったところで会えるわけないけど、ダンと少しでも話ができたらって思って私は結城総合病院へ向かうことにした。
救急車で運ばれた人が香梨奈ちゃんなのか、ダンなのか、ダンのご両親なのか分からないけど、とにかく急ごう。
嫌な予感がする。不安を殺して病院へ向かった。