嘘カノでも幸せになれますか
結城総合病院に着いたとき、時間は午後二時を過ぎていた。
私は受付の人に救急車で宮野さんが運ばれてこなかったか確認してもらう。
「宮野さんのご家族の方ですか?」
「いえ、知り合いなんですけど」
受付の人のその質問でこの病院に運ばれてきたことが分かった。
「申し訳ありませんが、ご家族の方しかご案内できないんです」
「そうですか。宮野さんの付き添いのご家族の人にだけでも会えませんか?」
「それは出来かねます。申し訳ありません」
どうしてもダンに会うことができない。
病院の中だからスマホの電源を切っているんだね。
私はどうしたらいいんだろう。
しばらく病院のロビーで待っていたけど、ダンの家族には会えなくて。
仕方なく私は家に帰ることにした。
落ち着いたらきっとダンから連絡が来るはずだから、待ってみよう。
その日は夕方になっても、夜になってもダンからの連絡は来なかった。
朝に送ったラインも未だに読んでくれていないようだったけど、もう一度ラインを送ってみた。
『ダン、大丈夫かな?何時でもいいので連絡待ってるね』
既読にならないラインの画面を閉じて、ベッドに横になる。
ダンの家族のことを思いながら鳴らない携帯をギュッと胸の上で握りしめた。