嘘カノでも幸せになれますか
たっくんの家から帰ろうと荷物をまとめている時にふとスマホに着信があったことに気付いて。
「あれ? お母さんからの着信だ。珍しい」
私はたっくんの目の前でおかあさんに電話を折り返した。
「もしもし、お母さん電話くれた?」
『柚葉、さっき宮野さんが来たのよ。前に柚葉が学校を休んだ時に来てくれた子よね』
「えっ? ダンがうちに来たの?」
そう言いながらたっくんと目を合わせる。
たっくんは 「ほらな、やっぱりダンは柚葉が大好きなんだ~」 って小さい声で言ってる。
『なんでもスマホを壊してしまって連絡が取れないからって言ってたわよ』
ああ、そう言うことだったの、ダン。
それを聞いて少し安心したけど、昨日夢の国に来れない程の何かがあったんでしょ。それはどうなんだろう。
「他には何か言ってなかった?」
『なんだか時間がないみたいで柚葉がいないって分かったらすぐに帰ってしまったのよ』
「そうなの。会いたかったな」
『スマホが無いと柚葉の番号も分からないって言ってたから番号だけ教えておいたわよ。そのうちそっちに掛かってくるんじゃないの』
「そうだね、待ってみるね」
『それにしても柚葉。前に来てもらった時も思ったけど、とても素敵な彼氏ね。きちんとご挨拶してくれて礼儀正しいし。今度ちゃんと紹介してよ』
「うん、今度ちゃんと紹介します」