嘘カノでも幸せになれますか

私はあまり男の人と話すのが得意ではない。

今まで誰ともお付き合いしたことないし、好きな人ができても片想いで十分だった。

それに突然話し掛けられた人に、学校にお財布を忘れて一文無しです、なんて言えないし。

私はその人に軽く会釈をして学校へと戻った。

とぼとぼ歩いてやっと学校に着いたと思ったら、正門の扉が閉まっている。

えっ? どうして門が閉まっているの? まだ部活とかしている時間じゃないの?

閉じられた門を見ながら、ふっと思い出した。

そう言えば今日は一斉下校だった。

先生たちが研修会とかで生徒は学校に残ることができないって帰りのHRで言ってたかも。

学校の周りには生徒の姿もなくて。

友達に連絡して電車代を借りるって言っても皆帰っちゃったし。

もしかしたらまだ駅に同じクラスの人がいるかも知れない!

一縷の望みを持って走って駅に向かった。

『お願い! 誰か駅にいて』

そう願いながら、走った。

「はぁっ、はぁっ・・・。」

いっ、息が切れる。

普段運動らしいことなんてしていないし、こんなにダッシュしたの久しぶりで、息が続かない・・・。
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