嘘カノでも幸せになれますか
すると後ろから私の名前を呼ばれた。
「ユズ」
ああ、たっくんが花束をプレゼントしてくれるんだね。
会場で行方不明になってたけど、ちゃんと来てくれた。
私は立ち上がり、後ろを振り返る。
「ユズ、優勝おめでとう」
大きな花束を抱えてこちらへゆっくりと歩いてくる人を見て、息が止まった。
私の目の前に立つ人。
大きな花束を贈ってくれた人。
そして、ステージ上で抱きしめてくれた人。
「ど、うして・・・」