嘘カノでも幸せになれますか

どれくらいの時間泣いていたのか、

「もう泣き止んで、ユズ」

そう言ってダンが私から離れて私の顔を覗き込んできた。


「ぷっ、はははっ! そのユズの顔! ブサイクだぞ」

「うっ・・・ひどいよ、ダン。そんなこと言って!」

「だってさ、せっかくしてもらったメイクも怖いくらいに落ちてるから」

「嘘! 鏡見せて! 鏡どこにある?」

「後ろにあるだろ、鏡。見てみなよその顔! あはははっ」

「ダンのバカ! そんなに笑うことな・・・い、って、えーっ! 私の顔ひどい。お化けみたいになってる」

「ひーっ、腹痛ってー。ユズ最高だよ」

「バカ! 最高ってなによ、もぅ」


ダンが爆笑してくれたおかげで私の涙もすっかりひいて。

ダンにつられて笑ってしまった。

そんな私たちの笑い声を聞いて、ドアの外にいたであろう先生とたっくんが遠慮がちに部屋へ入って来た。
< 309 / 314 >

この作品をシェア

pagetop