嘘カノでも幸せになれますか
「柚葉、俺とダンは明日のライブに間に合わないからそろそろ帰るけど、もう大丈夫か?」
たっくんがダンを連れて帰るよって言うから、
「そうだよね。明日はMGRのライブだもんね。気を付けて帰ってね」
そう返事をするしかないよね。
「えっ? ユズ、俺帰ってもいいの? 淋しくないの?」
ダンが分かり切った質問をしてくる。
ダンが帰ってしまったら淋しくないわけないもん。
帰らないでって言いたいけど、そんなわがまま言えるわけない。
「大丈夫だよ。私も明日の朝早く出発するから。必ずライブ観に行くよ」
私が淋しいのを我慢してダンに話していたら、後ろでたっくんが笑って、
「柚葉は素直じゃないな。ダンと一緒に居たいんでしょ?そう言えばいいのに」
「だって。そんなこと言ったってしょうがないよ。帰ることは決まってるんだし」
「だからさぁ、本当の気持ちを言ってごらんよ柚葉」
どうしてたっくんは私のわがままな気持ちを言わせようとするの?
「ほら、早く言って」