嘘カノでも幸せになれますか

私たちはホテルに帰り、それぞれの荷物を部屋に置きに行こうと思ったんだけど、

「俺さ、日帰りのつもりだったから何も荷物が無いよ。着替えだって無いし。どうするかな」

そうだよね。本当に急な話だったもんね。

「じゃあさ外へご飯食べに行って、その時に必要なもの買いに行こうよ」

「ん-。そうするしかないよな。じゃ、外に行くか」

「私着替えるからちょっと待ってて」

私はまだコンクールの時に来ていた服のままだったから普段着に着替えようと思ったの。

「ね、ダン。私、着替えるの」

「うん、早く着替えて」

「ダンがここにいたら着替えられないでしょ。自分の部屋に行ってて」

「何でだよ。ここにいても別にいいだろ。早く、着替えなって」

「ダンのエッチ! 早く出ていけ!!」

私はダンの背中を両手で押して、ダンをホテルの廊下へ押し出した。

ドアの外からダンが「ユズー、ケチ!」なんて言っているのが聞こえる。

もう、この先どうなっちゃうんだろう。

それでもダンだったら不安なんて何もないよ。

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