嘘カノでも幸せになれますか

「要はね、ダンはツンデレってやつなのよ。強引で冷たそうだけど、本当はそんなことないから。誤解しないでやってね」

「は、はい・・・」

ダンの噂話をしているとダンがスタジオに戻ってきたから、アヤさんとタクさんがクスクス笑って。

「んだよ。俺の悪口言ってただろ。聞こえてんだかんな」

「あら、ダンのこと褒めてたんだよねー、ユズ」

アヤさんに同意を求められて、小さく何度もうなずく。

「ユズまで俺の悪口言ってたのかよ。チェッ。ああ、それより今日カイト来れないって。ライン入ってたわ」

ダンが来れないって言ったカイトという人は、何者?

「ユズ、カイトってのがボーカルね。カイトも癖があるけど悪いヤツじゃないから」

ボーカルのカイトさんの説明をタクさんがしてくれたんだけど、

「なあタク。カイトも癖があるってさ、その”も”って誰のこと言ってんだよ」

ダンってば、するどい。

「お? 俺、そんな風に言ったか? 聴き間違えだろ。ダンはいい子ちゃんでちゅよー。癖なんかないでちゅよー」

もう、タクさんが面白い。

ダンって学校ではクールな印象だけど、このバンドではイジられキャラなんだね。

新しい一面を知れて少し嬉しい。
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