嘘カノでも幸せになれますか

2人のやり取りを笑いながら見ていると、タクさんが私に向かって声を掛けた。

「じゃあ、ボーカル無しで演奏してみるか。ユズ、弾けるか？」

「はい、大丈夫だと思います」

タクさんの一言で急にボーカルなしのセッションが始まって、私はどうにか皆に遅れないように演奏した。

コーラス部分はタクさんとダンが入れていて、とても綺麗にハモっていたけど、コーラスに私も参加したらだめかな。

高音のコーラスが入っても大丈夫そうだけどな。

って、私なにをやる気になってるんだろう。

今日は私のオーディションだったよね。

不合格だったらもうこのスタジオにも、この曲も演奏できないのに。