嘘カノでも幸せになれますか
電車が学校の最寄り駅に到着して、足取り重く改札を出ると
「ユズ、遅いよ。何分待たせんだよ」
改札の外にはダンが立っていて。
真っ直ぐ私の方を見て、何故か説教してくる。
「あっ、暖先輩。おはようございます。じゃないや、ダンだった」
「ん、おはよう。っつーか、ユズは毎日遅刻か? 前も会えなかったけど。なんだよ、真面目そうなふりして遅刻するヤツなのかよ」
「えっ? 前も、っていつのことですか?」
「ユズが財布無くて困ってた次の日の朝だよ。早くキーボードの話がしたくて駅で待ってたんだぞ」
「駅で待っていてくれたんですか? 私、その日は借りたお金をお返ししようと思って朝早く登校して校門のところでダンを待ってましたけど」
「はぁ?! なんだそれ。それじゃ会えるわけねぇよな、お互いに」
「私を待っていてくれたんだ。なんか嬉しい」
「もういいよ。その日の昼休みにユズが俺を探しに来てくれたから。サンキューな」
「ふふっ。こちらこそです」