嘘カノでも幸せになれますか
やっと駅に着いたけど、駅に同じ学校の人は見当たらなくて。
「どうしよう。誰もいない・・・」
両親は共働きしているからこの時間にはまだ家に帰っていない。
また涙が滲む。どうしょう、家に帰れない。
どうしたらいいのか途方に暮れていると、
「ねぇ、やっぱり電車代無いんじゃないの? 学校には入れなかったでしょ?」
私に話し掛けてきたその声はさっき聞いた声。
同じ学校の人がまだ駅にいた。
どうしよう、堪えていた涙が・・・。
「ふえっ、学校の門が閉まってて。お財布が・・・机の中でぇ~」
「やっぱりな。そんなとこだろうと思った。待ってて良かった」
「待っていてくれたんですか? 私を? どうして・・・」
「だって、さっき絶望的な顔してたからさ。そりゃ心配するでしょ」
「待っていてくれて、あっ、ありがとうござっ、うわーん」
「ちょっ、泣かないでよ。俺が何かしたみたいだろ」
「ごっ、ごめんなさぃ」
「同じ学校なんだし、電車代くらい出すからさ。早く泣き止んで」
私はハンカチで涙を拭いて、ティッシュで鼻をかんで。
顔を整えて、改めて待っていてくれたその人をしっかりと見て。
「見ず知らずの私のこと待っていてくれて、ありがとうございます」
そうお礼を言って、深々と頭を下げた。