嘘カノでも幸せになれますか

やっと駅に着いたけど、駅に同じ学校の人は見当たらなくて。

「どうしよう。誰もいない・・・」

両親は共働きしているからこの時間にはまだ家に帰っていない。

また涙が滲む。どうしょう、家に帰れない。

どうしたらいいのか途方に暮れていると、

「ねぇ、やっぱり電車代無いんじゃないの? 学校には入れなかったでしょ?」

私に話し掛けてきたその声はさっき聞いた声。

同じ学校の人がまだ駅にいた。

どうしよう、堪えていた涙が・・・。

「ふえっ、学校の門が閉まってて。お財布が・・・机の中でぇ~」

「やっぱりな。そんなとこだろうと思った。待ってて良かった」

「待っていてくれたんですか? 私を? どうして・・・」

「だって、さっき絶望的な顔してたからさ。そりゃ心配するでしょ」

「待っていてくれて、あっ、ありがとうござっ、うわーん」

「ちょっ、泣かないでよ。俺が何かしたみたいだろ」

「ごっ、ごめんなさぃ」

「同じ学校なんだし、電車代くらい出すからさ。早く泣き止んで」

私はハンカチで涙を拭いて、ティッシュで鼻をかんで。

顔を整えて、改めて待っていてくれたその人をしっかりと見て。

「見ず知らずの私のこと待っていてくれて、ありがとうございます」

そうお礼を言って、深々と頭を下げた。

< 4 / 314 >

この作品をシェア

pagetop