嘘カノでも幸せになれますか

ダンと昇降口で別れて教室に入ると、咲希が待ち構えていて、

「柚葉ぁ、今朝のなに? 暖先輩と仲良く手を繋いでたよね?」

うわ、咲希に見られてた?

「柚葉の心の声、聞こえてるから。見ていたの私だけじゃないよ、あんなに堂々と手を繋いでいたら皆から注目されるでしょ。しかも相手が人気者の暖先輩なんだし」

「えっと、あれはね、ダンが勝手に手を繋いできて・・・」

「柚葉、今何て言った?」

「え? 勝手に繋がれたの」

「そこじゃなくてさ! ダンって呼んでるの?」

「そっち? ダンって呼ばなきゃダメなんだって。暖先輩って呼ぶのはバンドに似合わないって」

「ふーん。じゃあ、柚葉は暖先輩からユズハって言われてるの?」

「えっと、そこはユズ・・・です」

「きゃぁぁぁぁ。あなたたち、一体どうなってるのよ」

咲希は自分のことのように顔を赤くして、頬を手でおさえながら叫んだ。
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