嘘カノでも幸せになれますか

私が今の電話について、なんて一輝先輩に説明していいか分からずにいると、私の背後から一輝先輩を呼ぶ声がした。

「一輝! もう練習始まるから戻って来いよ」

声のした方に振り向くと、一輝先輩を呼んだのはバスケ部の人で。

「あっ、一輝。取り込み中だった? 悪りぃ」

そんな風に言われたら、一輝先輩ファンに誤解されちゃう。

「こ、これは。違うんです。なんのお取り込み中でもないんです」

と、バスケ部の人に向かって言ったのに、その私の言葉に被せるように一輝先輩が、

「マジでお前は空気読めねぇな。シッシッ」

一輝先輩はあっちに行けのジェスチャーをしてせっかく呼びに来てくれたバスケ部の人を追い返した。
< 56 / 314 >

この作品をシェア

pagetop