嘘カノでも幸せになれますか
私が今の電話について、なんて一輝先輩に説明していいか分からずにいると、私の背後から一輝先輩を呼ぶ声がした。
「一輝! もう練習始まるから戻って来いよ」
声のした方に振り向くと、一輝先輩を呼んだのはバスケ部の人で。
「あっ、一輝。取り込み中だった? 悪りぃ」
そんな風に言われたら、一輝先輩ファンに誤解されちゃう。
「こ、これは。違うんです。なんのお取り込み中でもないんです」
と、バスケ部の人に向かって言ったのに、その私の言葉に被せるように一輝先輩が、
「マジでお前は空気読めねぇな。シッシッ」
一輝先輩はあっちに行けのジェスチャーをしてせっかく呼びに来てくれたバスケ部の人を追い返した。