嘘カノでも幸せになれますか

私は一輝先輩へ向き直り、

「もう帰ります」

そう言った後、

「みんなに誤解されちゃう・・・」

頬を膨らませて小さく消え入りそうな声で呟いた。

「ははっ、柚葉ちゃんはかわいいなぁ。ずっとそのままでいるんだぞ。じゃ、気を付けて帰りなよ。そうだ、明日も練習見に来いよな。待ってるから」

一輝先輩はそんな事を言いながら体育館へ戻って行った。

はぁ。一体何だったの、一輝先輩。

一輝先輩のこと、あとで咲希に聞いてみよう。

そんな事を思いながらダンの待つ昇降口へと急いだ。
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