嘘カノでも幸せになれますか
「あの、ダン。やっぱり恋人のふりをするって、できないよ。私、ちゃんと好きな人を見つけて本気の恋がしたいもん」
「ふっ、いまのユズにそれができんの? 相手がいるのかよ?」
意地悪な笑みを浮かべたダンがそんなことを言ってくる。
「今はいなくても・・・きっと、できるもん」
「はははっ、ライブまでに彼氏作って男への免疫をつけられるのか? ライブは夏休み入ってすぐなんだからな」
ダンは意地悪だ。
そんなに簡単にお付き合いってできるわけない。
そりゃさ、誰かに告白されたらちゃんと考えるけど。
こんなちんちくりんな私に告白してくるような人なんて皆無だし。
「なぁユズ、一人でブツブツ言ってんなよ。ユズは自分の世界に入り過ぎ。ちゃんと目の前の俺のこと見とけ」
はぁぁ? ダンは慣れてるかもしれないけど、私は男の人と二人きりになることに免疫ないんだってば。