嘘カノでも幸せになれますか

ダンが気を使ってくれているのか会話に困ることもなく、いつの間にか私たちの順番になってお店の中に入ることができた。

初めて入る店内はハワイ風の作りになっていた。

壁にはサーフボードやアメ車のポスターが飾ってあり、天井には大きな羽根のシーリングファンがいくつも回転している。

「わぁ、かわいいお店だね。ね、ダン」

「おお、そうだな。女子が好きそうな店だな」

お店の人が窓際の席に案内してくれる間、店内の飾りを見ていた私はお客さんの顔なんて全然見ていなかった。

通された席に座ってもまだ店内を目で散策していると、

「ユズ、何注文すんだよ。決めてから目を泳がせろ」

「目を泳がせるって。私がバカな子供みたいじゃない」

ダンに対して反抗しながらもメニューに目線を移して、一つのメニューを二人で開いて見る。
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