嘘カノでも幸せになれますか

まだ誰も起きてこない時間にキッチンに入り、お弁当を作り出す。

いつもはお母さんが作ったおかずをお弁当箱に詰めることしかしていないけど、今日はおかずも作ってみようかな。

お母さんの見よう見まねで卵焼きに挑戦。

出汁を入れて、卵を混ぜる。

お母さんは器用に菜箸で卵をくるくるっと巻きながら焼いているから、真似をして菜箸を使って卵を巻く。

えっ?巻けないよ。

卵がフライパンにくっついてきれいに巻けずにスクランブルエッグのようになってしまった。

「うわ!これ卵焼きじゃないよぉ。んー、でも味は大丈夫なはずだし、まぁいっか」

あとは何を作ろう。

そう思って冷蔵庫を覗き込んでいるとお母さんが起きてきて、

「あら、柚葉おはよう。めずらしく早起きね。もっとめずらしくお弁当作っているの?」

「お母さん、おはよう。見て、この卵焼き。お母さんみたいに作れなかったよぉ」

「柚葉、これは卵焼きなの? これからはお料理の勉強もしようね。素敵な人とお付き合いしたいならまずは胃袋を掴まないと。ふふふっ」

お母さんが急に『お付き合い』なんて言い出すから、昨日のダンのことを思い出してドキドキしてしまった。
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