嘘カノでも幸せになれますか
「ユズ! 昼食いに行くぞ」
教室中が一瞬、静まり返った。
もちろん私も固まった。
一瞬の静寂の後、クラスの女子が一斉に私とドアの前にいるダンを交互に見て、
≪≪ええーーーっ! きゃぁーーーっ!≫≫
それは地面が割れるのではないかというくらいの女子の叫び声。
≪宮野先輩の彼女って、もしかして本多さんなの?≫
≪まさか、そんなのありえないでしょ≫
女子の叫び声にダンが耳を塞ぐ。
「ユズ、早く来いよ。なんだよこのクラス。騒がしいな」
騒がしい原因は、ダンなんだよ。全然分かっていないよね。
ダンのところへ歩き出せない私の肩を咲希がポンっと叩いて、
「柚葉、行っといでよ。皆には説明しとくから。もう、暖先輩と柚葉は付き合ってるって言うよ。いいね?」
そうだよね、この状況じゃ付き合っていないって言う方が不自然すぎるもん。
「咲希ぃ。何から何までごめんなさい。あとでちゃんと埋め合わせするからね。ありがとう」