【短編】君のすべて
ピンチ?!
「なぁ、カスミちゃん
いい加減俺と付き合ってくれよ?」
最近ちょっとしつこくなってきた。
もうこいつとも潮時かな。
『ん~…』
「どうしてもダメ?」
『ごめんね。
好きだけど…特別に思えない』
「それでも俺は好きなんだ」
その好きだっていつか変わるでしょ?
『えぇ~』
軽く茶化す私に
差し出される青い小さい箱。
「俺、本気だから!!
カスミちゃんが付き合ってくれるなら
将来、一緒になりたい。」
げぇ~!!
本気なの?
付き合ってもないのに?
まだ2人っきりで遊ぶの…
5回だっけ?
いや…6回?
ってかそんなのどうでもいいんだけどさ。
永遠なんてないんだよ。
将来の約束なんて何の安心材料にもならない。
『私の事、何にも知らないのに?』
「カスミちゃんがいてくれるだけでいい」
昔だったら
この言葉にどれだけ喜んでた?
どれだけ幸せを感じてた?
だけど―――
今は捻くれた考えしか浮かばない。
何で、そんなに簡単に永遠を言えるの?
『やっぱ無理。
サヨナラ』
ラストは呆気なく冷たく終わらせる。
唖然とする彼が
途端にあたふたしだす。
「待って!!
俺の何がいけない?」
違うよ。
いけないのは私。
『友達としか思えない』
「それはこれからも変わらない?」
『うん♪』
とびっきりの笑顔に
ショックを受ける目の前の人。
the end
試合終了
立ち上がってブーツのヒール音を響かせる。