【短編】君のすべて
「花澄に騙される男達も
男達だなぁ~」
『慎也~大好き♪』
「確かにその笑顔は詐欺だな」
『褒められて嬉しい』
「褒めてねぇよ」
ねっ?
私の甘い声も
飛びっきりの笑顔にも靡かない。
男なんて浮気するモノ。
だけど、慎也は彼女すらいない。
けど…最終的には慎也も同じ。
女なんて笑顔を振りまきながら
何考えてるかわかんねぇよ
花澄を見てると…尚更な
女って怖いよな~
慎也も女を信じてない。
だから、お互い本音をさらけ出すし
恋愛感情なんて絶対ない。
「いつでも助けて貰えると思って
ホイホイ呼び出しやがって!!」
『だって~
慎也が困った事あれば
いつでも言ってこいって言ったんでしょ?』
「はぁ…
はいはい、そうでした」
ダルそうにため息を吐く。
裏切られて
傷ついて
毎日泣いてた私に慎也がくれた言葉。
でもね
慎也がいつも助けてくれるなんて
思ってないよ。
慎也だっていつかは離れていくし
簡単に裏切る。
だって慎也も男だから―――。