【新装版】BAD BOYS
「……、なんだろう。
初めて会った時からなんとなく思ってたけど、きみのこと見てたらすっごいイライラする」
「……なら誘わなきゃいいのに」
脅してまで誘われたから仕方なくきたっていうのに、どうしてイライラするなんて言われなきゃいけないんだろう。
はじめて会った時から思ってたなら、なおさらわたしのことなんて放っておけばいいのに。
舌打ちしたくなる気持ちをおさえて、運ばれてきたハンバーグにナイフを入れる。
ちなみに向かい合う彼の元に運ばれてきたのは生卵の黄身が乗ったカルボナーラ。……悪かったわね、可愛げがなくて。
「ねえ、あとで一緒にパフェ食べない?
俺こう見えて少食だから、全部食べきれないだろうし」
「……パフェが食べたいなら、
はじめからパフェを注文すればいいじゃない」
「なにそれどこの貴族のセリフ?
食べたいのはパフェだけど、その前に普通は晩飯食べてからでしょ」
なんでこう、いちいち腹の立つような言い方をするんだろうか。
どうせ言い合っても面倒なのはわかっているから、「そう」と一言で軽く流す。こうなったらなにを言われても無視してやろうと決め込んで、すぐ。
「……椿のこと、どう思ってんの?」
「……はい?」
「だから、椿のこと。
ノアさんっていう存在がいるのに、休みの日にふたりっきりで出掛けるぐらいの仲なんでしょ?」
「……あれは、」
半ば強引に、誘われただけで。
そこにわたしの意思なんてなかった、けれど。……そんな言い方は、さすがにできなくて。
「椿とは、昔から仲良いし……
どう思うとかじゃなくて、ただ一緒に出掛けただけで、」