【新装版】BAD BOYS
・ten
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『おはよぉ、おにーちゃん』
「おはようすみれ……
休みの日までちゃんと早起きして偉いな」
『おにいちゃん、おねむ……?』
電話の向こうで首をかしげる妹を想像して、ふっと口元が緩んだ。うん、今日もすみれは天使だ。
朝すみれに直接起こしてはもらえないけど、モーニングコールが掛かってくる。本当は掛かってくる前から起きてるんだけど、今日でそれも3回目。
本日、日曜日。
ようやく修学旅行は最終日で、今日は朝食をとったあと、集合時間まではかなり長い自由時間だ。
「ん、まだ眠いけど起きるよ。
……お土産買って、夕方には帰るからな」
言いながら、足を伸ばした先でまだ寝てるシイの背中を軽く蹴る。
寝返りを打ったシイがかなり不機嫌に俺を睨んだけど、起こしてやるだけマシだろ。
『おにいちゃん、』
「ん?」
『はやくかえってきてね……?』
ああ、やばい。天使がいる。
電話越しじゃなかったら絶対抱きしめてる。なんなら額にキスしてるレベル。かわいすぎて、お兄ちゃんはすみれが誘拐されないか心配だ。
「はやく帰る。だからお利口に待っててな?」
『はぁい』
名残惜しくなりながらも、大好きだよとささやいて電話を終わらせた。
洗面所に向かう途中、シイの「あー、だっる」というぼやきが聞こえてきたけど。数日一緒にいてわかったのは、シイの寝起きが最悪だってことだ。