【新装版】BAD BOYS







「え……?」



『だから、あいつに連絡が繋がんねえんだって……!

「ごめん」って一言だけ染にメッセージ送ってきて、俺らの連絡一切出ねえし、俺らも状況つかめてねえし、』



関西から関東へもどってきて、約1時間とすこし。

ようやく天皇寺の団体が解散し、シイとも別れてひとりになったところで芹から着信が入っていることに気づいた。キャリケースをカラカラと引きながらスマホを耳に当てる。



人の多い駅のホームを縫って、言われた言葉を噛み砕こうとするけれど。

……はなびに、連絡が繋がらない?



『お前まだこっち戻れてねーの?』



「いまからそっち戻る電車乗るとこだけど、」



『ならあと30分ぐらい掛かんのか……

とりあえずはなびの家行くかって話になってんだけど、さすがに場所までは調べ切れてなくて困ってんだよ』




『花舞ゆ』にも、白金に知り合いがいるヤツはそう簡単にはいなくて、困っているらしい。

速度を落としながらホームへと入ってくる電車を見て、「とりあえずそっちもどるわ」と電話を終わらせた。



……はなびの家に、行くってことは。

それぐらい事は大きくなっているわけで。



っていうか、連絡が繋がらないってなんだよ。

ごめん、ってことはつまり、俺らのところには戻れないっていう返事?



「ん、だよそれ」



結局。

どうすることもできない自分に、腹が立つ。



ようやく地元の駅について早歩きで家まで帰り、出迎えてくれたすみれに「ごめんな」と謝ってから、再び早急に家を出た。

遅くなって補導とかされたら面倒だから、制服だけは着替えたけど。ああクソ、スマホのバッテリーも残り少ねえし。



「芹、はなびに連絡ついたか?」



< 142 / 463 >

この作品をシェア

pagetop