【新装版】BAD BOYS



芹に連絡をしながら向かうのは、たまり場とは真逆の方向。

電話の向こうの芹は、「いや」と堅い声で返事した。



『西側っつうことは染が把握してんだけどな。

ノアさんも電話出ねーから、マジで行き詰まってんだよ』



「わかった。んじゃ、俺が行く」



『は、お前場所知らねーだろ』



「……ごめん、先に謝っとくわ」



たぶん芹は、この電話をスピーカーにしてる。

珠紀と穂が会話してくる声も聞こえてくるし、その場には当然染もいるだろうし。



「俺ほんとは、先にはなびに会った」




はなびの暮らすマンションは、もうすぐそこだ。

マンションの部屋番号までは知らねえけど、郵便受けを見ればおそらく見つけられる。



『はあ……? 会った……?』



「詳しい話は落ち着いたらするから。

とりあえず、もう着くから待って」



はやる気持ちに、自然と急ぎ足になって。

入ったマンションの郵便受けから、『與』の名前を探す。女子高生の一人暮らしだから出してねえ可能性も、とは思ったけど。



はなびは真面目な性格だから、きっちり郵便受けに名前があった。

それにほっとして部屋番号を覚えると、機械に見たままの番号を打ち込む。



これで出なかったら、どうしようもない。



『……、はい』



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