【新装版】BAD BOYS
「……芹、あとで連絡する。ごめんな」
『……いや、とりあえず大丈夫なんだろ?
俺らじゃどうにもできねーし、そっちはお前に任せる。時間かかってもいいからゆっくり話聞いてやれよ』
「……、わかった」
電話を切って、シーツに埋まる彼女を見る。
とりあえず服を着ようと促せば、寝室に入って、数分してラフな服装でもどってきたけれど。この間会った時とは別人みたいに、顔色の悪い彼女。
一体、何があったのか。
聞けば追い詰めてしまうことはわかっていたけど、引き下がるわけにもいかなかった。指先で冷たい頬に触れて、はなびの充血して赤くなった瞳と視線を絡ませる。
「……あの人と、なんかあった?」
ぽろ、と。
目尻から、綺麗な雫がひとつこぼれ落ちた。
「みんなと関わることには……
もう、文句、言わないんだって……」
「、」
「でも、ノアの気持ち、聞いたら……
やっぱりこの人はわたしがいなきゃだめだって、そう思っちゃって、」
俺を見てるはずなのに、瞳に何もうつっていないような気がする。
この世界の、全てが。……色褪せたみたいに、はなびの瞳にうつってない。
「前は、ノアに必要とされたくて、『花舞ゆ』を裏切ったのに……
今はもう、わたしにしかすがれないノアのために、『花舞ゆ』を諦めるしか、なくて、」
そんな泣きそうな声で話すくせに。
本当はもうとっくに壊れてしまってるのは、はなびの方なのに。……そんなになるまでそばにいたいと思える人な、わけ?
「はなび……それは違うんじゃねえの?
それははなびがそうやって甘やかしてるから、あの人がそれにつけ込んでだめになってるだけ。このままだと自滅する」