【新装版】BAD BOYS



「ちょ、っと、ノア、」



ここで引き下がってしまえば、ノアの思うツボ。

そうされることが嫌いなわけじゃない。だけど今許してしまえば、ノアがまた調子に乗る。くちびるの離れた隙に抵抗を見せると、ゆったりと彼は離れた。



「嫌なの?」



「っ、」



「だめ、そうやってすぐ目逸らす。

俺のことちゃんと見て。……そう。偉いね」



彼の声が、甘さをはらんで聞こえる。

薄くグレーのかかった瞳に見つめられると、途端に囚われて、離してもらえない。



視線を絡めた状態で、また距離を縮めるノア。

だめだってわかってるのに、まるで金縛りにあったみたいに身体が動いてくれない。ノア、と彼を引き止めるはずの声も、甘く媚びたように零れた。




「俺にこうされるの、好きでしょ?」



「ノア、」



「本当は、俺のこと欲しくてたまんないくせに」



耳元で囁かれる、甘い声の次に挑発的なそれ。

優しさは同じなのに、わたしがどうすれば反応するのかを、よく知ってる。ぞくりとしたものが背筋を這って、全身が熱い。



「欲しいなら、欲しいって言いなよ。

ほら、キスしたいって言わなきゃあげないよ?」



ノアが、わたしを焦らすのがうまいの?

それともわたしがもったいぶって、焦れてしまうだけ?



「キス、して……ノア、」



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