【新装版】BAD BOYS
「お家デート、ね。
……いいけど、そうなれば俺離してあげないよ?」
「はいはい、そこまで。
女子高生相手に、お前は何犯罪まがいなこと言ってんだよ」
「ちょっとマスター。
顔も仕事も犯罪みたいなマスターに言われたくないよ」
「お前海に沈めてやろうか」
怖いです、マスター。
というか顔も仕事も犯罪みたいなって何。確かにこの人、モデルでもやってるんじゃないかと思うほどかっこいいけど。カフェが恐ろしく似合わない。
「しかもノアのくせに美人連れてんじゃねえか」
キツめの言葉はさておき、優しい笑みでわたしの前にホットサンドとキャラメルマキアートを置いてくれる彼。
どうやら、仲が良い相手の前では素が出るタイプの人らしい。
「マスターにも、かわいい奥さんいるじゃん。
……どうせ脅して手に入れたんだろうけど」
「はは、お前が客じゃなかったら、
ここはカフェから戦場になってただろうな」
「お客さん待ってるんだから早く行きなよリンさん」
彼を軽く受け流して、見送るノア。
「お前覚えてろよ」と捨て台詞のようなものを吐いて、マスターはお客さんの方へと足早に歩いていった。やっぱりノアの人脈は謎だ。
「言っとくけど、あの人一応ヤクザだからね」
「……えっ」
ノアがそう言ったのはランチを堪能して店を出たあとのことで、思わず意味もなくお店を振り返る。
なんでそんなお仕事の人が平然と知り合いにいるの。仕事が犯罪ってそういうこと?