【新装版】BAD BOYS



『Juliet』と書かれたおしゃれなケーキ屋さん。

それに隣接されたカフェ『Romeo』。お隣はマスターの奥さんのお店らしく、『Romeo』で出しているケーキは奥さんのお店で買って帰れるみたいだ。



「どういう経緯で知り合いになるの……」



「まあ、色々ね。さてと、この後どうしようか。

このあたりのショップ回ってもいいし、地元帰ってからどこかに出かけてもいいけど」



「……あ、えっと、」



「ん?」



「のいちゃんに会いたいな、って……」



一瞬、ノアがきょとんとした顔をみせる。

珍しく幼い表情にどきりとするわたしをよそに、彼は「いいよ」と笑った。この間千秋さんと一緒にお迎えに行ったことは、どうやら知らないみたいだ。




きっと千秋さんが、気を遣って言わずにいてくれたんだろう。

その優しさは、純粋に嬉しい。



「じゃあ、地元もどろうか。

のいもはなびのこと好きだから、喜ぶよ」



「あ、じゃあ途中で千秋さんとのいちゃんにお土産買っていってもいい?

ノアの家だけど、さすがに手ぶらは嫌だから」



「はいはい、そうしようか」



わたしが意見をまげないことを知っているからか、案外あっさりだ。

2歳の子ってドーナツ食べられる?と聞けば、一応食べられるらしい。のいちゃんが好きなドーナツをノアに教えてもらって買ってから、地元へともどった。



「ただいま」



何度か訪れたことのあるマンション。プレートには3人の名字である『間宮』の文字。

中に声を投げたノアに続いて「お邪魔します」と玄関口をくぐると、中からのいちゃんが駆けてきた。



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