【新装版】BAD BOYS
実はわたしがこの街にもどってくる話が出てきていたときから、千秋さんとノアは何度も「一緒に住もう」と言ってくれていた。
だけどわたしの両親にはそのことを伝えてない。
正直、一緒に住みたいと言えば、両親は喜んで協力してくれるだろう。
ノアのことを信頼しているふたりだから、わたしを一人暮らしさせるのに比べたらよっぽど安心すると思う。
特に一人暮らしを最後まで渋っていたわたしのお母さんは、絶対にそっちの方がいいって言うだろうから。
それをわかっているから、未だにわたしは悩んでいた。
「ん、」
身を、捩る。
今日はノアと恋人繋ぎしている時間は長くて、いかにも"デート"って感じだったけど。シーツの上で絡まる指にはそんな甘やかさはない。
「ノア、」
背筋が、ざわざわする。
迫り上がってくる色づいた疼きに落ち着かなくて、意味も無いのに抵抗しようとすれば、キスで封じ込められた。
「ねえ……話、聞いて」
「話してもいいよ。聞いててあげるから」
「そうじゃ、なくて、」
くちびるが、指が。
ノアしか知らない場所に触れて、また疼きが色濃さを増す。まだ何もされてないのに、もう熱に浮かされたみたいな気分に、させられる。
「おねがい、ノア、」
途中で帰るつもりが夕方から晩ご飯まで長すぎるくらいに間宮家にお邪魔してしまい、帰ってきたのは少し前。
お風呂を済ませて一息ついていたところでシャワーを浴びた彼に寝室へと攫われ、この状況。
左手の薬指からは、リングがなくなっていた。