【新装版】BAD BOYS



「……仕方ないな。どうしたの」



じっと、ノアに見下ろされる。

息を詰めたせいで思わず喉がこくりと鳴って、自分が緊張していることに気づいた。



「あ、のね、わたし……」



「うん」



優しい声。絡めていた指を離して手の甲で、熱くなったわたしの頰を撫でてくれるノア。

取り残されて行き場の無いわたしの手は、密に絡んでいたせいでしっとりと汗ばんでいた。



「『花舞ゆ』の、みんなと……

やっぱり、一緒にいたい、って思って、」



一緒に住む件については、今日も引き延ばし。

それでも、以前よりは少しだけ揺れた。もしこのままの関係性が続くのなら、一人暮らしだろうと一緒に住もうと、関係ない気がするから。




「ノアが、嫌がるのはわかってるんだけど……」



「……いいよ」



「……え?」



「はなびと2年過ごして、これでもはなびのことは俺が一番知ってるつもりだから。

……いいよ、関わっても。はなびの言葉信じてるし、絶対的に信頼してるよ」



あ、あれ。予想してた展開と違う。

まさかこんなにもあっさりと「いいよ」の返事をもらえるなんて思っていなかった。そのせいで戸惑うわたしに、ノアはくすっと笑みをこぼした。



だけどその笑みは、次の瞬間切なげに変わって。



「でも……

俺のことだけちゃんと、好きでいて」



< 168 / 463 >

この作品をシェア

pagetop