【新装版】BAD BOYS
「……仕方ないな。どうしたの」
じっと、ノアに見下ろされる。
息を詰めたせいで思わず喉がこくりと鳴って、自分が緊張していることに気づいた。
「あ、のね、わたし……」
「うん」
優しい声。絡めていた指を離して手の甲で、熱くなったわたしの頰を撫でてくれるノア。
取り残されて行き場の無いわたしの手は、密に絡んでいたせいでしっとりと汗ばんでいた。
「『花舞ゆ』の、みんなと……
やっぱり、一緒にいたい、って思って、」
一緒に住む件については、今日も引き延ばし。
それでも、以前よりは少しだけ揺れた。もしこのままの関係性が続くのなら、一人暮らしだろうと一緒に住もうと、関係ない気がするから。
「ノアが、嫌がるのはわかってるんだけど……」
「……いいよ」
「……え?」
「はなびと2年過ごして、これでもはなびのことは俺が一番知ってるつもりだから。
……いいよ、関わっても。はなびの言葉信じてるし、絶対的に信頼してるよ」
あ、あれ。予想してた展開と違う。
まさかこんなにもあっさりと「いいよ」の返事をもらえるなんて思っていなかった。そのせいで戸惑うわたしに、ノアはくすっと笑みをこぼした。
だけどその笑みは、次の瞬間切なげに変わって。
「でも……
俺のことだけちゃんと、好きでいて」