【新装版】BAD BOYS
・twelve
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「つ、ばき……」
朝までそばにいてくれたノアは、「また来るから」とお昼前に帰っていった。
ひとりになった寝室で、どうすればいいのかわからなくなって。どっちも手放せないまま泣いて、芹に「ごめん」と一言だけ連絡を入れた。
それから電源を切ったけれど、ひとりでいれば必然的に涙があふれてしまう。
ノアは、いいよって言ってくれたのに。あの切なげな顔を見るたびに、「嘘だよ」って言いそうになった。
もぬけの殻みたいに呆然と過ごしていたら、いつの間にか時間は夕方。
椿が来てくれなかったら、それにすら気づけないほどで。
彼の言葉に、少なからずわたしは救われた。
……なのに、どう、して。
「抵抗、しねえの?」
熱っぽい視線で、見下ろされる。
それだけで自分の内側を焦がされるみたいに全身が熱くなるのに、外側から溶かされてるような気分になるのはどうしてなのか。
「だ、って、椿はそんなこと、」
「しない、って言い切れる?」
「っ……」
そんな顔、しないでよ。
ノアだけでいっぱいいっぱいなのに。そんな風にわたしのことを、惑わせようとしないで。──弱ってる今は、選択を間違いそうになるから。
「キス、するけど」
「や、だ、椿っ……」
思わず、顎を引いてそれを拒む。
それが本気の抵抗だったことに気づいてハッと顔を上げたけれど、椿の表情は傷ついているようには見えなかった。