【新装版】BAD BOYS
「今はこうやって、俺の前にいてくれるだけで十分だよ。
そんな風に思ってくれんのは、確かに嬉しいけど」
「ん、」
「……さてと、芹に連絡していい?
あいつらも、すげえ心配してたから」
そう言った椿に頷けば、彼はスマホを取り出して「あ」とつぶやく。
何かと思いながら画面を覗き込むと、スマホが強制的にシャットダウンされた。充電切れだ。
「充電器、持ってくるわね。
すぐには使えないから、わたしのスマホ、」
寝室から、スマホの充電器と自分のスマホを持ってくる。
彼に充電器を渡し、その間に自分のスマホの電源を入れると、不在着信とメッセージが大量。
それに顔を引きつらせるわたしを見て、椿も「えげつない数だな」って笑ってるけど。
何も笑えないわよと小さくため息を吐いて、連絡先から芹の名前を選ぶ。電話を繋いでスピーカーに切り替えると、3コール目に入る前に繋がった。
『おいこらはなび、お前「ごめん」の一言だけ寄越してくんなよ。
俺とデートしようぜって約束しただろーが』
『え、芹ちゃん、
はなちゃんとデートの約束したの?』
『おー。飯行く約束だけどな。
……んで、どうなったんだよそっちは』
「……あ、の」
椿が、安心させるように頭を撫でてくれる。
それに肩の力を抜いて、「明日、」と思い切って口を開いた。なるようになれ、だ。
「明日、『花舞ゆ』に顔出すことにしたから」
ひとまず、ノアからの許可は出てる。
わたしが彼らのもとに戻ることで、そこからわたしとノアの関係がどうなろうと今はこれが先だ。