【新装版】BAD BOYS
『お、ま……
明日って、マジで急すぎじゃねーか!』
「だ、だって。
引き伸ばしたらまた余計なこと考えるから、」
『なんで昔からお前はそうなんだよ!?
ああもう、お前らまだ残れるやつは準備しろ!うちのお姫様は、納得いかないことには怖ぇんだから!』
『……芹、ほんとにはなびのこと好きだよね』
『おいこら珠紀、お前も手伝え』
『俺いま彼女と連絡とってて忙しいんだよね』
ざわざわする電話の向こうの声が、あの頃と変わらない。
それが、愛おしい。自分から捨てたはずなのに、どう足掻いても結局は好きみたいだ。
「……めずらしく、芹も浮かれてんな」
『ああん? 椿、お前は帰ってきたら説教だ』
「……はなび俺あの場所に帰りたくない」
『おい甘えてんじゃねーぞ。
つーかはなび、ソイツふたりきりだと何するかわかんねーから早急に追いだせ』
「それならさっき、」
『"さっき"……?
椿、お前まじではなびに手出して、』
誤解されてる、と口を開こうとしたら。
横にいた椿が何の遠慮もなく電話を切ったから、ぱちぱちと瞬きする。なんで電話切ったの?と聞くまでもない。絶対、面白がってやってる。