【新装版】BAD BOYS



「遅いよ、はなちゃん」



「2年もお姫様が不在なんて、

男ばっかでむさ苦しくて仕方ないよね」



「お前は彼女いんだろーが!

……お前なあ、どうせ出迎えられんのはわかってただろ。んな顔して入ってくんじゃねーよ、辛気臭いな」



喉の奥が熱い。

こらえてたけれど、近寄ってきた染が「はなび」とわたしを呼んで。もう一度「おかえり」と言ってくれた瞬間に、涙がこぼれてしまった。



せっかく、電車に乗る前、お化粧直ししたのに。

椿の前で昨日は泣きはらした顔を見せてしまったし、今日はみんなの前であの頃よりもかわいい自分でいようって、決めてたのに。



「た、だいま……」



みんなの顔を見たら、そんなことどうでもよくなるぐらい、まぶしくて。

染は涙混じりのわたしの言葉を聞いて、ふっと口角を上げた。




それから、ふと何気なくわたしの背後にうつる視線。

それを追うかのように、みんなが椿を見たかと思えば「は!?」と驚きの声が上がる。一番うるさいのはもちろん芹だ。



「椿さん、髪色……!」



「どうしたんですか!?ご乱心!?」



「……いまご乱心っつったの誰だ。

俺だって、髪ぐらい染めるから」



わたしの頭に腕を乗せて、「な?」って同意を求めてくる彼。

やっぱりわたしが帰ってきたことよりもインパクト強いじゃないと笑みを浮かべたら、それに気づいた椿が眉間を寄せた。



「笑ってんなよ。……まあ泣いてるよりはいいけど」



指で涙をぬぐってくれる椿。

化粧落ちてない?って聞いたら悪戯に笑う。え、落ちてない?大丈夫?目の下黒くなってない?



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