【新装版】BAD BOYS
「いつでもかわいいから、大丈夫だよ」
わたしの求めてた答えと違う。
だけどじわりと赤くなる頰に彼が満足そうな顔をするから、からかっただけらしい。ああそうだ、何考えてるの、わたし。
椿は、元からこういう人だ。
遊んでて軽くて、そんな彼の本命がわたし、なんて。一瞬でも思ってしまった自分が恥ずかしい。
「う、っわ……胃もたれするわ。
つーか、お前らそんなとこ立ってねーで、さっさとこっち来い。お祝いって称して、お前の好きなもん用意してあんだから」
手招きされて近寄れば、芹がわたしの手を引く。
テーブルをくっつけて長くしてあるようで、確かにわたしの好きなお菓子からデザートやら飲み物やらが、大量に積まれてる。
どうやら夕方に来るのを見越して用意してくれたらしい。
勧められた席は、まさかのテーブル一番端。あれだ、俗に言う、お誕生日席。
しかも椅子じゃなくてソファだし。
文句を言う間もなくそこに座らされ、まっすぐに続くテーブルまわりに集まるみんなを見る。
「んじゃあそれぞれ好きに楽しめってことで、」
ハイ、と手渡されるグラス。
中身がわたしの好きなジュースだったから、口元がゆるんでしまった。
「乾杯」
芹の粗雑な説明のあとの一言で、倉庫内には同じ言葉が響く。
一気に騒がしくなる中でグラスに口をつけて、わたしのソファの後ろにいる芹を振り返れば、予想以上に顔が近い。
「近いんだけど……」
「文句言うなよ、予想以上にお前のお祝いしたいヤツ多かったせいで、席足りねーんだから。
ああそうだ、椿!お前ちょっとこっちこい!」
すこし離れたところで、染と何か話していた椿。
あきらかにふたりで真面目な話をしてますオーラを放っているのに、芹は遠慮なくコバルトアッシュの彼を呼ぶ。