【新装版】BAD BOYS



それに気づいて振り返った椿が、やっぱりいつもより大人っぽく見える。

染に断ってこちらに来る椿をじっと見ているのも変な話だ。そう思ってジュースに口をつけていると、顔見知りの後輩たちが集団で近寄ってきてくれた。



「はなびさん、おひさしぶりです!」



「おかえりなさい!元気にしてました?」



「う、ん。元気にしてた」



笑顔で向けられる言葉が、あたたかくてうれしい。

手を伸ばして髪をわしゃわしゃと撫でてあげれば、嬉しそうに笑ってから、後ろにいた後輩たちを紹介してくれる。



わたしが去ったのは2年前だから、その間に増えた子たちとははじめましてだ。

といっても一方的にわたしの写真なんかは見せてもらったことがあるらしく、「実際は写真以上に美人ですね」と言われて、笑ってしまった。



椿と仲良くなれそうなタイプだ、と思っていれば。

案の定天皇寺の1年生で椿と仲が良いらしい。類は友を呼ぶっていうけど、椿はちょっと呼びすぎだと思う。仲良しのあの子とかね。




「あ、そうだ。ねえ、芹」



「んー、なんだよはなび」



ついさっきまで、椿に「どうしてお前は先にはなびと会ってたんだ」とぐちぐち説教していた芹。

どうやらもう飽きたようで、椿は早々に珠紀の後ろに隠れにいったけど、どう考えても珠紀を選んだのは間違いだと思う。



だって彼は魔王様だ。

穂と染を巻き込んで向こうで楽しげに話しているのが見えるけど、すでに珠紀の微笑みが黒い。



「『BLACK ROOM』って、知ってる?」



こそり。

誰にも聞かれないよう問いかければ、ぐっと眉間を寄せた彼は、「なんでお前そんなの知ってんだ」と同じように声をひそめる。



「いや、ちょっととあるところから……

で、何か知ってるなら、教えて欲しいんだけど、」



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