【新装版】BAD BOYS
はなびが俺のことを好きになるようにする、っていうのは。
つまり俺を好きになってもらうように努力する、ということで。……あれ。俺、なんか典型的に間違ってる?
「……俺はなびに好きになってもらえそうなことって、したっけ」
「……出た、椿の自爆」
「………」
「あれだけ好きなくせに、好きになってもらえるような努力してなきゃ意味なくない……?
想うのは一方的だけど、好きになってもらうのは双方の問題なんだから、」
「……珠紀そんぐらいにしてやって。
このままだと椿、地面にめり込みそうなぐらい落ち込むから」
ずん、と沈んでしまった俺のフォローをしてくれるけど、芹にさっき散々ネタにされたせいか、素直に喜べない。
黙り込んでいたら芹が「椿」と、俺を呼んだ。
「気分転換しよーぜ。
今週末、ストレス発散して、飯行くぞ」
「お前の約束っていつも一方的だよねえ」
まあ暇してるし、いいけど。
ストレス発散って何すんのと問えば、「カラオケ」と一言。芹なら気遣わねえし、カラオケ別に嫌いじゃないし。
「はなびも誘うか?」
「芹ちゃん、それストレス発散にならないと思うよ……?
っていうか、散々みんなつーちゃんのことネタにしてるけどさぁ、染ちゃんはどうなの?」
「……俺がどうかしたか?」
そういえば。俺が露骨過ぎただけだけど、染もはなびのこと好きなんだった。
それも俺より片想い歴長いし。忘れてたわけじゃねえけど、何のアクションも起こさねえからもういいのかなって、勝手に思い込んでた。