【新装版】BAD BOYS
残念なことに、俺は頭がよろしくないのだ。
それに加えてはなびのこととなると、盲目すぎて自爆経験過去に多数アリ。ひとつ考えると、ほかのことに頭が回らなくなる。
「はなびが、彼氏と俺らを両立できねえなら……
俺らの中から誰かが彼氏になれば、解決するってことだろ?」
「……相変わらず無鉄砲な考え方だけどね。
まあ、一応理にはかなってるんじゃないの?」
ようやく芹が俺の背から降りてくれて、軽く首を回してから立ち上がる。
俺らが呑気に会話しているうちに片付けは終わったらしく、ガレージの中はいつも通りだった。
「なら、略奪するかな……」
ぐっと、伸びをして。
告げた言葉に、不敵な笑みを返してくる面々。基本的にこいつら、楽しいことするのは好きだからな。協力、は、してくんねえけど。
ハードル高ぇよ、あの人から略奪すんの。
手っ取り早いのははなびが俺を好きになってくれること、か。……はは、何も手っ取り早くねえよ。難易度高すぎるわ。
「とりあえず、はなびに連絡しなよ。
約束取り付けたりしなきゃ、はじまらないでしょ」
「……俺、デートしようって前に約束したよ」
「そうなの? なら、誘ってデートしなよ。
芹もなんか、はなびとデートどうこう言ってたけど」
……俺がはなびと事前に会ったことは、当然バレてるんだけど。
それが"デート"だったことは、誰にも言ってない。デートしようって約束を取り付けておいてなんだけど、もう既に一度はデート済みだ。
「デート、ね……
色々あると思うけど、とりあえず無難な感じで選べば?映画とか定番でしょ」
「………」
「どしたの、つーちゃん」