【新装版】BAD BOYS
穂に顔を覗き込まれる。
固まっていただろう俺は、そろりと視線を持ち上げて。それから、「実は……」と口を開く。どうしてこんなことを暴露しなきゃいけねえんだ。
「デート、2回目なんだよねえ」
「……お前ちゃっかりデートしたのかよ。
ほんとに、そういうとこは抜け目ねーな」
ケラケラと笑う芹。
肩に腕を回してきたかと思うと、「んで?」と聞いてくるから。なに?と首を傾げれば、「デートで何したんだよ?」と返される。
「映画見て、ランチして、ショッピング……?」
「……普通だな」
うるさいな。
あの時の俺は、はなびが『花舞ゆ』にもどってくる唯一の架け橋だったから、俺だって色々悩んだんだよ。余計なことして距離作りたくなかったし。
「たまちゃん、彼女呼んであげたらー?
つーちゃんとはなちゃんと、4人でダブルデートすればいいじゃんー」
「それは俺が嫌。
あと、ダブルデートなんてそれこそ鈍感でも椿の気持ちに気づくでしょ。はなびが気遣うだろうし、俺じゃなくて芹の方が良いんじゃない?」
「はあー?」
「芹と椿は仲良いんだし、はなびも気の知れたメンツの方が楽しめるだろうし。
3人で遊びに行って、芹がちょっとだけ引けば良いよ」
なぜか俺そっちのけで、とんとん話が進んでいく。
珠紀に「どっちがいい?」と問いかけられて芹と答えたら、めんどくさそうな顔をしながらも「わかったよ」と言ってくれた。
「んじゃ、お前あいつに声かけとけよ。
俺は基本的にいつでも困んねーし」
「ん、りょーかい」