【新装版】BAD BOYS



椿どうかなと思って……と。

何が「違うの」なのかはさておき、控えめに聞いてくるはなび。どうでもいいけど、俺にこの後予定があったらどうする気だったんだろう。



……いや、あるんだけど。



「シイ遊ぶの今度でいい?」



スマホを軽く離して聞けば、ある程度想定していたのかため息をつく。

紫色の髪が窓から入り込む風で揺れて、甘ったるいなと目を細めた。シイが女の子に向ける視線も、髪色も、香水も、雰囲気も。全部甘ったるい。



「あの子が関わると、驚くほど俺のこと切り捨てるの早いよね。

……まあいいよ。デートしてこれば」



「ん。……はなび、いーよ付き合う。

すぐそっち行くから、とりあえず待ってて」



それに対する返事だけ聞いて、電話を終わらせる。

俺のドタキャンのせいで予定がなくなったシイは、女の子の集団に「遊びに行こ?」と声をかけていた。




これは放っておいても良さそうなやつだな、と判断して。

「椿くんまたねー」と手を振ってくる女の子たちに軽く手を振り返して、校門へと急ぐ。



「……はなび!」



遠巻きに見てる野次馬の男女、はまだしも、なぜかはなびのそばにいるのはギャルな女の子たち。

名前を呼んで近寄れば、はなびはどことなく困った表情で俺の名前を呼んだ。



「椿、どういうこと? 彼女ー?」



「うそだよね? 椿彼女つくらないんでしょ?」



……ああ、そういう、ね。

だからはなびが男じゃなくて女の子たちに囲まれる図ができあがったのか、と。どこか他人事みたいに考えながら、はなびの腕を引く。



「遊びは遊びだって、言ってるだろ〜?

……それわかってくんねえなら、俺次から誘わねえけど?」



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